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第17回口頭弁論期日の報告

 

原告訴訟代理人弁護士 馬越 俊佑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月30日午後14時から、第17回口頭弁論期日がございましたので、報告いたします。本日で弁論終結となりました。

 

1 原被告から最終準備書面の提出

 原告・被告らの双方から、いわゆる最終準備書面が提出されました。前回期日での尋問の内容を踏まえ、これまでの主張をまとめたものであり、これが双方最後の主張になりました。私たち弁護団の準備書面は130頁を超える詳細なものとなりました。

 

2 原告意見陳述

 原告代理人の村田弁護団長から、最終準備書面の内容を要約して意見陳述しました。

 まず、本件が、労働者が日々労務を提供する場であり、かつ閉じられた空間である職場において、使用者である被告らが、その優越的な立場を利用して、原告に対して行なった行為の責任を問う訴訟であることが確認されました。

 そして、原告が人種差別・民族的差別的言動にさらされない権利等を有しており、被告らにはこれらの権利を侵害しないよう職場環境に配慮する義務があったにもかかわらず、当該義務に反して差別的表現を含む資料を配布した違法行為があり、これにより、原告が筆舌しがたい精神的苦痛を受けていることを述べました。

 また、被告らが表現の自由の問題であるとしている点については、本件が表現の自由一般ではなく、労働契約上、時間的・場所的拘束を行っている職場内で、その優越的地位を利用して行われたものであって、労働者の人格を傷つけてまで許される表現の自由などないことを説明し、被告今井自身が、ヘイト表現があることを認めながら、「ヘイト表現言う自体おかしい」「普通はそんなこと、受け取りませんわ。少なくとも9割以上の方は」などと問題としていることを逆に非難するという恥ずべき発言を繰り返していることを主張しました。

 最後に、本件が、一労働者による一職場における一人の人格侵害のみならず、多様性と個人の尊厳を保障する日本国憲法が求める価値を守る裁判ということを強調しました。

 

3 被告会社意見陳述

 被告会社からも意見陳述がされましたが、まず、被告今井がヘイト表現と認めたことについては、全体の文脈からヘイト表現に当たらないなどと述べながら、被告今井が認めたヘイト表現が、どのような文脈からヘイト表現に当たらないというのかについては言及がありませんでした。

 また、結局は原告の意に沿わない表現を問題としているに過ぎないなどと主張されましたが、この点は裁判所も原告の意見を問題とはしないと明確に述べているとおりであり、失当です。すわなち、尋問において、被告会社代理人が原告に対して配布物の内容に対する意見を質問した際に、裁判所は、原告の意見は問題にならず、聞く必要はないと、質問を制限したのです。裁判所も原告個人の意見が問題となることはないと判断しているのです。

 その他、これまでと異なる主張はありませんでした。

 

4 被告今井意見陳述

 被告今井からも意見陳述がされました。会長に悪意がないことを強調する内容でしたが、悪意が無くとも不法行為は成立するのであって、意味のあるものとは考えがたいものでした。

 その他、これまでと異なる主張はありませんでした。

 

5 判決は5月14日14時~

 本期日で裁判は終結となり、判決は5月14日14時からとなりました。

 4年以上続いた裁判もようやく一区切りとなります。皆様次回期日も是非傍聴に参加してくださいますようよろしくお願い申し上げます。

                                      以上

 

会報使用写真.jpg

​今回の期日で配布された傍聴抽選券は172枚でした。期日後の支援者集会に参加していただいた皆様は102名で、傍聴抽選、および期日傍聴のみで帰られた方も多数おられたので、原告支援者は110名前後であったかと思われます。前回の、会社側実質「動員」による異様な雰囲気から一転して、原告には安心して期日に臨んでもらうことができたのではないかと思います。引き続き、5/14の判決期日への傍聴支援をおねがいいたします。

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