top of page

大阪弁護士会によるフジ住宅株式会社に対する人権救済勧告について(声明)

 

 私たちは、フジ住宅株式会社による会社ぐるみの人種差別、パワーハラスメントによる人権侵害被害を受けている在日コリアン3世が原告となり闘う裁判を支援するために集まった市民グループです。裁判期日への傍聴支援を呼びかけ、期日後には支援者集会を開催するなどの活動をおこなってきました。

この度、フジ住宅株式会社に対する人権救済勧告をおこなっていただいたことを歓迎し、大阪弁護士会の会長をはじめとする、ご尽力いただいた弁護士会の皆さまに深く感謝申し上げます。

 

 今回の勧告書のなかで大阪弁護士会は、裁判の被告・フジ住宅株式会社が韓国や韓国国民一般に対する人種差別表現が数多く含まれる文書を全従業員に配布したこと、さらに同じく被告・代表取締役会長の今井光郎氏が、配布文書のなかの人種差別的表現に傍線や〇印を付していたことを事実として認定し、それら行為が原告に対する人格権侵害に相当すると判断していただきました。また、特定の歴史観、思想・信条にもとづく歴史教科書の採択運動に、原告を含めた従業員を実質的に動員したことが、思想・良心の自由への侵害の恐れが強い行為であるとも判断していただきました。

原告は、現在もフジ住宅株式会社のなかで人種差別的文書の配布が続くなか、精神的に強いストレスに晒されながら働くことを余儀なくされています。とりわけ、フジ住宅株式会社のなかでは、原告による提訴後から、原告に対する悪質かつ陰湿な嫌がらせが、両被告の主導により続けられています。具体的には、他の従業員等が原告について、侮辱、誹謗中傷、脅迫をおこない、人種差別をおこなう文言が記された業務日報等が、両被告によって選ばれ、全従業員に複写が配布されているのです。 

 

 フジ住宅株式会社および代表取締役会長・今井光郎氏は、今回の大阪弁護士会による勧告を真摯に受け止めて、これに従うべきです。現在進行形の人権侵害行為によって被害を受け続けている原告を救済し、今後防止するための措置を、速やかに取ることを強く求めます。

 

 また、現在民事訴訟を審理していただいている大阪地方裁判所堺支部におかれては、この勧告書に留意し、公正な審議と判決を言い渡していただくにあたって活用していただければ幸いです。 

 

 最後に、この勧告書は直接的にはフジ住宅株式会社に向けられたものですが、それだけに留まらない意義をもっています。

現在、日本と韓国、北朝鮮、中国等との関係は決して順調とはいえません。時として敵対的、感情的な言葉が公的な立場にある人たちから語られ、メディアにおいても過激な論調が幅をきかせています。そのような言動に煽られ、朝鮮半島や、中国等にルーツをもつ人に対する人種差別的言動が頻繁に見聞きされるようになっています。

日本のあらゆる企業は、いまいちど襟を正し、人種差別的言動による加害と被害が発生していないかどうか、自社や関連する企業の職場のなかを見直すべきです。そのうえで、勧告書が指摘しているように「社会の公器として多様な価値観・歴史観を許容し、国籍や人種等による差別的意識を排する職場環境の構築」に、これまで以上に取り組むべきです。今回の大阪弁護士会の勧告書が、職場における人種差別的言動や不利益取扱いを予防し被害者を救済するレイシャルハラスメント対策を進め、外国人住民等の労働者としての権利を、いっそう保障するための企業の取り組みの契機となることを願ってやみません。

 

  2019年7月16日

 

ヘイトハラスメント裁判を支える会

bottom of page