第12回口頭弁論及び街宣活動のご報告
1.第12回口頭弁論期日:2023年4月13日(木)午前10時30分開廷
〇「賞与を出すのは本社。日本の裁判所で争うものではない」と被告
原告から訴えの取り下げ、および訴えの変更の申し立て(いずれも4月10日付)。争点確認案など、提出した書面について訂正のやりとり。
その中で「国際裁判管轄」という言葉が出てくる。原告が解雇されず、在籍していたら得られるはずであった賞与について、被告モルスタは「支払うのはアメリカ本社なので、日本の裁判所で争うものではない」(要旨)との主張。「賞与については、親会社(アメリカ本社)が原告に付与すると、双方で合意した」。しかし「契約書はつくっていない」(いずれも要旨)。
ここで裁判長とやりとりが交わされる。私としては、何だかよくわからなかったが、被告が屁理屈をこねているのは伝わってきた。収入にかかわる内容について、契約書を作成しないなんてことがあるのか? 入社時に「何があっても裁判をしません」という契約書にサインさせる会社である。
「賞与規則は会社が一方的に決めたもの。合意とは言えない」と裁判長。傍聴席でジャーナリストの北健一さんが「そうだ!」と声を出してうなづいていたのが印象的だった。
なお、原告Aさんは、賞与は自分が働いていた会社から支払ってもらいたいとのこと。
〇裁判長が公益通報者保護法に基づく主張を提案
その後、裁判長から、公益通報者保護法に基づいて主張してくれとの提案があった。
公益通報者保護制度とは「国民生活の安心や安全を脅かすことになる事業者の法令違反の発生と被害の防止を図る観点から、公益のために事業者の法令違反行為を通報した事業者内部の労働者に対する解雇等の不利益な取扱いを禁止する」(厚労省HP)。
川口弁護士によれば「原告の行為が解雇にあたるものだとしても、公益通報者保護法で守られる範囲であれば、原告にとって有利になる。裁判長が関心を抱いているのがよくわかる」。
なお、伊藤由紀子裁判長は神社本庁の職員が上層部の不正を告発したことで解雇された事件の審理にかかわっていたとのこと。
裁判長へ、今回は「ありがとう」と言いたくなった。
閉廷後は裁判所正門前で報告がてら集会。快晴であったが、黄砂がすごく、右翼の街宣車が騒音をがなり立てていたこともあり、早々と終了。
2.大手町モルスタ社前での街宣
大手町へ移動し、モルスタ社前で街頭宣伝開始。
今回から、新横断幕がデビュー。日本語と英語を併記したもので、1枚で済むので便利。
強い風の中横断幕を掲げ、チラシを配る。周辺に金融関係、外資系企業が多いため、横断幕に目をやる人は多く、チラシも次々にはけていく。
Aさんもチラシ配りに参加した。ここでかつて一緒に働いていた何人かと出会ったという。
「一人は、私の秘書をしていた女性です。私を見て涙ぐんで、『つらかったでしょう』と繰り返しました。そして、『あなたが戻ってくるのを待っています』と言ってくれました。私は会社に戻る予定なので、大きな慰めになりました。もう一人は、私が採用した部下です。話をしたら、なぜ私が裁判をしたのか理解してくれました。もう一人は、私が解雇されたことを知りませんでした。大きな会社でたくさん人がいるので、知らない人もいるんですね。多くの人が『あなたは会社に戻るといじめられるよ』と言います。私はそんなことは思っていません。私は能力がなくて解雇されたわけではない。なので、裁判で判決を勝ち取って、会社を変えたい、と強く思います」
次回13回口頭弁論は6月12日(月)10:30~東京地裁510号法廷
閉廷後12:00~13:00までモルスタ社前(大手町)で街宣をおこなう予定
11月頃には証人尋問がおこなわれます。原告側は、被告側証人として、ハラスメントの加害者など3人を申請する予定
期日後、東京メトロ「大手前」側の、「モルガン・スタンレー」が入るビル前で、街頭宣伝とビラ撒きをおこないました